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OTの上肢治療への取り組み 其の3 ~修正CI療法~
2024-1-13【カテゴリー】OTの仕事/その他

当院のブログで過去2回にわたって、上肢治療の取り組みを御紹介させていただきました。
これまでの機会で IVES(2022年7月掲載)ミラーセラピー(2023年7月掲載) の紹介をさせていただきましたが、今回はCI療法についてお話させていただきます。

CI療法とは?

CI療法とは脳卒中後遺症などで出現した運動麻痺の回復に活用される治療法のひとつです。
運動麻痺を伴った手は、運動量が低下しやすいことに加え、運動の失敗により負の学習が起こってしまいます。
その結果、動きやすい手(非麻痺側)で麻痺側を補う傾向を示し、使用頻度が減少されやすい状態になります。
CI療法は麻痺側上肢を積極的に使用する事で、大脳皮質、神経伝導路が再構築され、運動麻痺の改善が期待できる治療法です。
脳卒中ガイドライン2021では「軽度から中等度の上肢麻痺に対しては、麻痺側上肢を強制使用させる訓練など、特定の動作の反復を含む訓練を行うよう勧められる(推奨度A、エビデンスレベル高)」、と記されています。

当院では通常のCI療法より短時間(1-6時間/日)で行う修正CI療法を導入しています。修正CI療法は非麻痺側のミトン等での拘束は必須ではなくなっています。拘束は緩和されていますが、麻痺側を使用する意識付けは必要となるため、同意書や誓約書で確認してから実施していきます。短時間で集中的に実施し、拘束の制約が緩和されていることで患者様の精神的なストレスは少なく実施できているように感じます。

ここからは当院で行っている実際の進め方や実施内容の一部を御紹介させていただきます。

CI療法の進め方

修正CI療法は、患者さんと共に目標となる活動を設定し、麻痺側上肢を生活で使用する場面を決定していきます。

そのため患者さんの認知機能はある程度保たれている必要があります。

その他にも適応条件があり、導入に際しては検討が必要です。(図①)

<図①CI療法の適応条件>

適応条件を満たしていれば、日常生活動作の中で患者さんと麻痺側上肢を使用する場面を相談していきます。
決定した目標は居室の見えやすい位置に貼り付けます。視界に入りやすい位置に掲示する事で、目標への意識を向上させるようにしています(写真①)。

<写真①:目標記載用のシート>

また目標を設定する上で、難易度を高く設定しすぎないようにしています。
難易度が高すぎると、実施中のエラーが多くなり、失敗体験が積み重なります。失敗体験が多くなると手を使おうとする意欲が低下する可能性があります。ただ課題が易しすぎても良いというわけではなく、難易度が低すぎても機能向上が見込めないという報告もあります。そのため課題の難易度は達成率6~8割程度の活動を選択するようにしています。
修正CI療法は患者さん主体で行っていただく治療法です。そのため精神面にも留意しながら意欲的に取り組めるよう配慮しています。

加えて、主体的に行っていただく1つの手段で患者さんには日記を書いていただいています。これは毎日の手の使用感を振り返り、手を使う事へ意識を向けるために実施しています。
内容は主に目標に掲げた活動を中心に記載していただいています(写真②)。
セラピストと一緒に日記を確認する際、うまく出来た内容は称賛し、その動作を強化していけるようフィードバックします。課題で挙がった項目は要因を分析し治療に反映させていきます。日記はただ振り返るだけでなく、治療ツールの1つとして有効に活用するようにしています。

<写真②:実際の日記>

その他の取り組みとしては個々の患者さんの能力、目標に合わせた自主トレメニューを作成し、リハビリ時間外で行っていただく事や、病棟スタッフと目標や自主トレの共有を行いながら進めています。

今回は当院で実施している修正CI療法について御報告させていただきました。
これまで修正CI療法を実施した方々は一定の上肢機能の向上が見られています。改めてリハビリ場面だけでなく、生活場面で手を使用する事は重要であると感じています。
また一方的に目標を決めるのではなく、丁寧に対話して患者さんに理解、納得をしてもらいながら進める事が大切であると感じます。
今後も対象患者さんとうまく対話し、一緒に目標を共有しながらリハビリを進めていきたいと思います。

 

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2024年1月13日投稿

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