今回は作業療法士(OT)で取り組んでいる上肢治療の取り組み(作業療法士(OT)の上肢治療への取り組み)についてご紹介させていただきます。
以前(2022年7月掲載)のブログで当院の上肢治療への取り組みをご紹介させていただきました。
作業療法士(OT)の上肢治療への取り組み 今回はその取り組みの第2弾を御報告致します。
現在取り組んでいるのはミラーセラピー(MT)という治療法です。
ミラーセラピー(MT)という治療法は鏡による錯視を利用した治療法で、上肢治療の有用性が報告されています。(推奨度B 、エビデンスレベル中 ※推奨グレードは脳卒中治療ガイドライン2021より引用)
ミラーセラピー(MT)は元々、切断患者の幻肢痛に対する除痛効果を期待されて始まりました。その後、難治性疼痛や運動麻痺に対して有効性が報告されるようになり、現在はリハビリ場面でも活用されています。
ここからはミラーセラピー(MT)の簡単な説明と当院で行っている内容の一部をご紹介させていただきます。
ミラーセラピー(MT)は鏡に写った手を見ながら非麻痺側である手を動かします(写真①)。
運動麻痺のある手は発症前と比べ、思い通りには動かすことができません。
そこで運度麻痺のない手を利用し、鏡像で動かした手を見て脳に錯覚を起こします。
その運動錯覚によって関連する脳領域(運動前野、小脳外側など)が活性化する事が報告されています。
写真①(ミラーセラピーとは)
当院では上肢の随意性が乏しい重度~中等度運動麻痺の方を中心にミラーセラピー(MT)を実施しています。
上肢の運動麻痺が重度の方は随意性が低下しているため、道具などを使用した課題指向型訓練の実施が難しくなります。そのため損傷された脳に刺激を入力する頻度が少なくなっています。ミラーセラピー(MT)はIVES(低周波治療機器)と方法は違いますが、損傷された脳に刺激を入力する事が期待できます。
ミラーセラピー(MT)の治療は、鏡像を見続けて行うため集中力が必要となります。そのため介入時間は5~20分程度とし、課題は単純な動作を設定するようにしています(写真②)。高次脳機能障害や認知機能低下により鏡像に入り込む事が難しい方もおられるため、実施中の反応、内省を聞きながら進めるようにしています。
写真② ミラーセラピーの実践場面
また、以前のブログでご紹介したIVESと併用しながら行う事も可能です(写真③)。
IVES+ミラーセラピー(MT)のように現在は治療方法を併用して実施していく報告も増えています。
私が入職をした15年ぐらい前の上肢治療は徒手療法が中心であったため、リハビリの進歩を感じています。実施した反応は様々で、「(麻痺側が)動いているように感じる」と言われる方もいれば「動いている感じがしない」、「疲れる」と感じられる方もおられます。先述しましたが、ミラーセラピー(MT)は集中力が必要な治療方法であり、患者様の感じ方も大切になってきますので、反応や意見を聞きながら導入を検討、相談しています。 今後も治療効果を期待しながら患者さんに合わせて進めていきたいと思います。
写真③ IVES、ミラーセラピー(MT)の併用場面
今回は当院で取り組んでいるOTの取り組みの続報を御紹介させていただきました。
今回の取り組みでは推奨度の高いミラーセラピー(MT)を学び、臨床に導入する事ができました。
次の取り組みは修正CI療法を予定しています。
今後も推奨レベルの高い治療方法を学習し、一人でも多くの患者さんの力になれるようにしたいと思います。
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最後までお読み頂きありがとうございました。
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社会医療法人有隣会 東大阪病院
リハビリテーション部
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緩和ケアリハビリテーション課
回復期リハビリテーション課
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