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慢性腎不全患者に対する作業療法実践の報告
2023-3-1【カテゴリー】OTの仕事

 先日、当院の作業療法士AさんとBさんの2名が、大阪市北ブロックで生涯教育制度基礎研修の一つである事例発表を行いました。
 生涯教育制度とは、作業療法士の継続的な自己研鑽を支援するために日本作業療法士協会が設けている卒後教育の制度です。「生涯教育基礎研修制度」と、「認定作業療法士取得研修」、「専門作業療法士取得研修」からできています。今回紹介する事例発表は、比較的経験年数が低い療法士が発表することが多いです。そこでの経験や他施設の先輩作業療法士にアドバイスをもらい、今後、大阪作業療法学会や近畿作業療法学会、日本作業療法学会での発表に繋がればというような一面もあります。
 詳しい内容は 日本作業療法士協会のHP を参照ください。
 今回は上記図の赤丸に該当する事例検討会に参加した内容について書こうと思います。
 2名とも偶然に、慢性腎不全の既往があり血液透析を受けられている患者さんの内容でした。

 Aさん発表

 Bさん発表

 Aさんの発表内容は、脊椎疾患の術後の患者さんです。
 数年前に同様の手術をしたときは本人の望む生活の実現に約半年かかったのが、今回は回リハを経由し、約3か月で達成し自宅退院できました。急性期の関わりとして、初回から作業面接でニードを聞き、現状の身体機能でも達成できるようにポイントを伝えながら動作指導を行いました。作業が獲得できればすぐに作業面接を行いニードの確認しといった介入を繰り返した結果、本人の主体性がうまれリハ専門職種と相談しながら介入を行うことを容易にしました。本人からも「実はペットを飼っていて退院してからも一緒に床に寝転んでだらだら過ごしたいです」といった、本音が聞かれ本人の望む生活への実現へと繋がった症例です。

 Bさんの発表内容は、運動器疾患の診断名で入院された患者さんです。
 本人は食に対して強いこだわりを持ち、退院後も「自分で買い物に行き好きな物を食べたい」との希望がありました。介入時の移動手段は車椅子で退院後を考えると歩行の実用性を高める必要がありましたが、本人の自覚は乏しくリラクゼーションの希望が強かったようです。家屋評価に行き実際に外をバギーで歩いてみたら全く歩けず、そこで「このままでは買い物には行けない」とやっと気づきがあったとのことです。そのタイミングで本人がリハビリ以外でも歩行練習が出来るように実際に退院するバギーの操作練習などを行い、環境調整を行いました。その結果リハビリ以外の時間にも歩く練習をし、退院後希望通り「自分で買い物に行き好きな物を食べたい」ということが実現できた症例でした。

 この二人の共通点は、〝患者さんが主体的に自分でリハビリが出来るように目標の設定や環境調整を行っていること〟また〝身体機能だけでなく、患者さんにとって大切な作業が実現できるように作業に焦点を当てての介入を継続して実施できていること〟でした。リハビリは患者さんの望む生活が再び実現できるようになる過程であると私は思います。
 患者さんが退院時に「先生のおかげです」と感じるのではなく、「自分でいっぱい頑張った」と思えるように支援するのが私たちリハビリ専門職種の役割の一つではないかと考えています。

 今回発表にあたり、一緒に抄録の作成や発表スライドの作成に関わらせてもらいました。その作業の中で作業療法士らしい関りが出来ており、私自身も勉強になりました。また後輩が患者さんと一緒に考えながら作業療法士として生活の支援が出来ていることを感じることが出来ました。日々の臨床業務だけでは分からないことを知ることができ、本当にいい機会であったと思います。今後もこのような機会があれば一緒に考え、ともに作業療法士として成長できればと考えています。

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