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新人リハビリ療法士の臨床指導について ~臨床スキルの向上に向けて~
2022-6-22【カテゴリー】PTの仕事/キャリアアップの秘密

 新人リハビリ療法士が入職して丸2ヶ月が経過し、新人リハビリ療法士もいよいよ臨床に出て患者さんの診療が始まりました。

 患者さんの診療といっても、まだ担当は持たずに、先輩リハビリ療法士の患者さんを一緒にみながら経験を積んでもらっています。

 この記事では、毎年4月に入職する新人リハビリ療法士の当院での教育について お伝えします。

▶新人リハビリ療法士の平均目標単位数◀

 当院では、新人リハビリ療法士の月の平均目標単位数を6月から設定しています。


  具体的には、

   6月:3単位/月
   7月:6単位/月
   8月:9単位/月
   9月:12単位/月
   10月:15単位/月
   11月:15単位/月
   12月:18単位/月 といった感じです。


 2020年初旬からの新型コロナウイルス感染症の影響で、学生時代に臨床実習を十分に経験せず就職することになった新人リハビリ療法士は数多くいます。当院に入職してくれた新しい仲間たちも例外ではありません。そのため当院では、新人リハビリ療法士の学生時代の状況に応じて臨床教育をすすめています。新人リハビリ療法士も、入職して2ヶ月もすると、少しずつ職場に慣れ、周りが見えるようになり、ついつい同期の進捗状況が気になったりと、他者と比較してしまうようで、自分が成長できているのか不安にも思うようです。 



▶新人リハビリ療法士の臨床教育制度~Super Vision制度~ ◀


 新人リハビリ療法士の不安や戸惑いを少しでも緩和できる制度が当院にはあります。それが『SV(Super Vision)制度』です。リハビリテーション部門では、新人リハビリ療法士だけでなく、3年目以下のリハビリ療法士には、毎月最低1回は先輩リハビリ療法士からの臨床指導(SV指導)を受けてもらうことを義務付けています。ということで、先日私も新人リハビリ療法士の臨床指導を行いました。


 臨床指導では、関節可動域訓練、筋力増強訓練において目的とした筋や組織へアプローチできているのか、疼痛の確認をするための声掛けの仕方、座位や立位での訓練の段階付けを患者さんの病状に合わせて実施できているか、その場で提案したり実際に私が診療をやって診せ、そして真似てもらうなどしながら、より効果的に訓練が提供できるようにその場でフィードバックを行いながら実施しています。実は今回臨床指導した新人リハビリ療法士は、臨床指導を行う数日前に私の診療の見学についてもらっていました。その際、患者さんを触ってもらい診療の補助を行ってもらった時は不安げな表情で声も小さかったため、今回の臨床指導前は内心『大丈夫かな?』と思っていました。ですが、わずか数日で『こんなにも人って変わるの?!』と思うくらい、患者さんの前では患者さんに不安を与えないように気丈に振る舞い、そして寄り添い、診療に一生懸命取り組んでいました。その姿をみて、自分が新人時代にこんな風に立ち回れていたかな?など回想したり、今でもこのときの緊張感を持ち、初心を忘れずに臨床に取り組めているかな?などいろんなことを考えさせられました。


 臨床指導終了後は、SVフィードバック用紙を用いて、治療介入の結果として改善したポイントや患者さんの身体に変化が起きたところを共有しながら、その中での成功体験を認識してもらうよう振り返りを行います。こういった振り返りの中で学ぶことの楽しさ、学ばない事の罪深さ、学ぶことでの悩み、いろんな感情を引き出せたらと思い、話をしています。



▶SVシートの紹介◀


 実際に使用しているSVフィードバック用紙はこちらです。


 とてもシンプルですが、今できていること、臨床指導の中でできるようになったこと、さらに臨床家として成長していくのに必要な視点や課題を言語化し、共有することができるシートになっています。

 
 この用紙を使用していいなと思うところは、できているところをちゃんと言語化する事です。自分自身でフィードバックするとついつい悪い所、つまり課題ばかりに目が向いてしまい、自分のできているところはおざなりにしがちです。しかし、できているところを認めずに放っておくことは、自己肯定感の向上に繋がらず、成長の妨げにもなりえます。その点、このフィードバック用紙では、できているところを第3者目線で言語化することで、自分では感じにくい、いつもは思っていないことまで他人の目から見たらできていると気が付くことができます。最近は指導することが多い立場になりましたが、この用紙を使用することで、指導する際にもいいところをちゃんと見つけようといった指導者としての視点の成長にもつながっていると思っています。少しでも患者さんと対峙する時の不安を拭いながら、新人リハビリ療法士が臨床家としての道をつまずくことなく歩んでいけるように、これからもサポートするとともに、自分自身も驕ることなく臨床家として成長し続けたいなと感じました。

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