リハビリ職として最初に苦労することといえば患者さんの機能評価の中の、特に初期評価についてではないでしょうか?
言語聴覚士(ST)はリハビリ職の中でも、担当する分野がかなり広い職種かと思います。
当院の急性期病棟に入院されている患者さんは摂食嚥下機能障害、失語症・高次脳機能障害が中心です。その中でも摂食嚥下機能障害が多くを占めています。嚥下障害の患者さんは内科疾患や骨折などを発症して入院されているので、全身状態を考慮し、摂食嚥下障害の評価だけでなく、内科・整形外科等の知識を含めた評価が必要となります。
リハビリは初回面接から評価、訓練内容の立案、そして機能訓練から再評価へと進めますが、新人言語聴覚士(ST)として苦労するのが、患者さんの初期評価かと感じています。
経験者でも十分でない、もっとうまくなりたい、上達したいと感じている2年目以降の言語聴覚士(ST)もいるかもしれません。
当院急性期病棟で行う摂食嚥下障害初期評価の対象は、肺炎で痰がゴロゴロしている方やひどく痩せている方、関節の拘縮が著しい方、骨折で動けない方など様々です。このような方々の嚥下評価をするので、私自身言語聴覚士(ST)になって1~2年目の頃は初期の評価をどのように実施すれば良いかかなり悩みました。
当院急性期摂食嚥下障害初期評価は、言語聴覚士(ST)各々の経験に関係なく評価を遂行できるように、2021年度新たに評価項目のテンプレートを作成しました。現在はそれに則って評価を実施しています。頭の中では評価内容について理解していても、(特に新人の時は)上手くいかないことが多々あります。例えば、いざ患者さんの前に立つ(上記のような方々の)と頭が真っ白になる、思ったよりも患者さんの状態が悪い、1単位(20分)で評価しなければいけない状況などです。予定した通りに出来なかったり十分に評価しきれなかったことがありましたが、私はこのテンプレートが完成し運用してから、かなり初期評価(新患業務)の効率が良くなったと感じています。評価場面で不足することが減り、何よりもカルテの記載時間が大幅に短縮されました。加えて、カルテの記載内容が統一化されたため、どの言語聴覚士(ST)がカルテ入力を行っても、内容に一貫性があるのでとても読みやすくなりました。バラバラの情報が整理整頓された感じですかね。デメリットは今のところありません。現在のカルテは過去のカルテと比較すると情報が集約されてわかりやすくなっています。記載漏れや書き方で悩むことが減ったので変更以前の拙いカルテとの差に驚いています。
完成まではかなりの時間を要しましたが、運用に至れてよかったと感じています。
運用に至るまでの経緯についてはまた後日お話しできれば幸いです。
※無断転記禁止
文責:言語聴覚士S
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