リーダーブログチーム作業療法士のIです。
今回は入院中のリハビリ以外の時間の過ごし方についてお話ししたいと思います。
回復期リハビリテーション病棟は一般病棟よりも訓練時間が長く、1日最大で3時間のリハビリ時間があります。しかし、1日は24時間。24時間に比べると、たった3時間です。
患者さんのご自宅での生活を考えると、身の回りの事(食事・着替え・入浴・トイレ・整容)以外にも家事や趣味、外出など様々な作業があり、それらの作業には準備や片付けが伴うため、気づかないうちに動いておられます。患者さんが退院してすぐに、ご自身の生活に戻る為には、入院中のリハビリ以外の時間(回復期リハビリテーション病棟では1日最大3時間のリハビリ時間があります。ということは、リハビリ以外の時間は21時間ということになります。)をどのように過ごすかがとても大切になってきます。
今回はその一例をご紹介させていただきます。
(以下内容は御本人様の許可を得ています)
Aさん90代女性、転床当時は、もの盗られ妄想や辻褄の合わない発言、危険行動などがみられました。どのような関わりをしたらAさんが穏やかに過ごすことができるか担当者は頭を悩ませていました。
そこで提案したのが紫陽花の貼り絵です。
この貼り絵をきっかけに、Aさんの得意な事がわかり、作業活動の提案に繋がりました。
最初はこちらからお渡ししていましたが、徐々にご自身で決めて下さるようになりました。
ご自宅でも行っておられた写経「あんたにお守りあげる。持ち歩き。」と私にも同様のものを書いてくださいました。Aさんの素敵な人柄が皆さんにも分かっていただけるかと思います。
ご自分のお洋服の柄からヒントを得て、次のような壁装飾も施してくださいました。
この葉っぱ一つひとつにこだわりがあり、ハサミで1つずつ作っておられ、折り紙も本を見ながらお1人で作っておられました。
夏らしいデザインでとってもステキですよね!!
オリンピックの開幕前にはこれ!!
同じものをリハ室にも作ってくださいました。
8月に入ってからは、ひまわり畑、ひまわりの花びらは1枚1枚切っておられました。
長さにもこだわりがあるようです。
Aさんは、この製作を通して、色々な気づきがおありだったようです。
「人生この年で最高の幸せ者です。大勢の方と知り合い、良き事も悪い事も名を知られ幸福者です。」と言って下さっています。
ただ、ご自身が不穏だった時のことは覚えておられず、職員からその時の様子を聞いて、今後のために自叙伝を作成しておられます。
その自叙伝の最後を、
「私は命ある限り強く生きて行きます」と締めくくっておられます。
Aさんは環境が変化するたびに不穏になられるとの情報がありました。
退院後も同様のことが考えられますが、得意である作業を退院先に引き継ぐことで、場所は変わってもAさんらしく生きていってくださるよう心から願っています。
どれだけ好きな事であり、得意なことであっても、その作業を提供するタイミングによっては逆効果になることもあります。その人らしさを引き出す関わりはとても難しいですが、患者さんの笑顔を見るために、その人らしく生きていくお手伝いをするために、これからも作業療法士(OT)だけでなくチームで試行錯誤しながら関わっていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ご協力いただいたAさんありがとうございました。
無断転写禁止。
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