管理職ブログチーム、作業療法士のKです
今回は当院で行っている事故防止対策の一つ、
「KYT(危険予測トレーニング)」
についてお話させて頂きます。
KYT??
という方もおられると思いますので、まずは簡単にKYT(危険予測トレーニング)について説明をさせて頂きます。
KYT(ケイワイティ)とは略称で、キケン(kiken)のK、ヨソク(yosoku)のY、トレーニングのT(training)の頭文字をとって、KYTと呼びます。正式名称は、危険予測トレーニングです。危険予知トレーニングと呼ばれる場合もあります。
元々は作業場や鉄工所などで事故や災害を未然に防ぐために取り入れられていましたが、近年では医療現場に取り入れられる事が増えてきています。
具体的にどのようにするのかというと、普段の何気ない日常場面やリハビリ訓練場面の一部を切り取り、その場面に潜むリスクを予測する、というもので、事故を未然に防ぐ能力を養う事を目的にしています。
数年前より取り組みを始め、昨年度まではグループディスカッション後に発表、といった形で運営していました。しかし今年度は感染対策のため、各リハビリ療法士に課題となる場面を配布し、個人で回答していく事としました。提出してもらったものは急性期、回復期、各チームに分けて集計しています。その後、掲示するなど他のチーム分も見られるように周知していますが、今回はその中の一部をご紹介させて頂きます。
今回のテーマ図は長期臥床していた左片麻痺患者が車椅子へ移乗する練習をしている場面です。患者は経鼻栄養チューブを挿入していて、右手にはミトンを装着、ベッドから車椅子に一人介助で行おうとしている場面です。
各チームの回答内容です。
(写真が分かりづらいですね。申し訳ありません。)
両チームの共通の回答として、現状把握では長期臥床による全身状態の変化(血圧の変動)、経鼻チューブの抜去、移乗前後の転倒、転落が挙げられています。加えて今、特に意識が必要なマスク未装着による感染リスクも挙げられていました。
現状把握では各チームで似たような内容が出てきましたが、対策樹立では各チームの内容に少し偏りがありました。急性期チームでは血液データの確認やルート確認を行うなど、全身状態に注意するような内容が多く挙げられていました。回復期チームでは転倒防止に対してアームレストを跳ね上げ式に変更する事、移乗を2人で行う事など、移乗に関連するような内容が多かったです。理由はわかりませんが、自身が所属する部署や携わる時期により目の付け所が変わるのかもしれないな、と感じました。各チームの視点に特徴があり、それを周知する事で様々なポイントを知ることができ、各セラピストが自分になかった観点を育めていけると思います。
病院での事故は日頃から注意していても起きてしまう事があり、重大な事故を引き起こさないよう、その対策は常に考えないといけません。
私自身リスクマネジメントチームに所属しており、日頃から事故を減らす事ができるよう努めております。
今後もKYTを有効に使用しながら、リスク管理をしっかり行える病院にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
※無断転載禁止
※文責:作業療法士K
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