作業療法士のKです。
今回は回復期リハビリテーション病棟での作業療法士の日々の仕事や役割に関して書かせていただきます。
当院に入院される方で多い疾患として
脳血管障害
頚髄症などの神経疾患
大腿骨の骨折やその手術後
股関節や膝関節の人工関節置換術 などが挙げられます。
当院ではできる限り在宅復帰していただく事、入院期間を短くする事に力を入れています。
そのためにはチームでの情報共有が大切です。リハビリ療法士間はもちろん、主治医、病棟の看護師や介護士、医療相談員との連携を大切にしています。口頭だけでなく、電子カルテも活用しながら情報共有を行っています。
この取り組みによって得られた患者さんの情報を、私たち回復期の作業療法士(OT)は患者さんの日常生活動作(以下ADL)支援に活かしています。
ADL支援とは?
日常生活動作が自身で行えるよう能力向上を目指し、リハビリを行う事を言います。
ここで私達が大切にしている事は日常生活動作の
①何が ②何故できないか を考える事です。
例えば、スプーンをうまく使えていない方がおられたので、スプーンの練習を反復します。という介入を行ったのは正解でしょうか?もちろん反復する事は大切ですが、私達はまず、スプーンをどううまく使えていないか観察します。
・すくう事がうまくいかないのか
・口に運ぶ途中で落としてしまうのか
・スプーンを持つ指がずれてしまうのか など
できない動作や苦手な動作から何故できないかを考えるようにしています。
できない原因が手や指が硬くて動きにくい場合は関節可動域訓練により関節を軟らかくします。手や腕の筋力が落ちている時は筋力増強訓練を行います。運動麻痺や身体の使い方に原因があれば神経筋再教育(徒手療法、IVES、課題指向型訓練等)を行います。
日常生活動作のどの工程が何故できないか原因を追究し適切なリハビリを提供できるように心掛けています。又、毎月他部署を含めて検討していく部内カンファレンス、リハビリチーム内でのADLカンファレンスを行い他者からの意見やアドバイスを聞ける時間も設けています。一人で悩まずスタッフ皆で協力できる環境を作れるようにしています。当院の作業療法士(OT)が大切にしている事で先程のADL分析、リハビリに加えて、ADL以外の余暇活動や家庭で役割が再獲得できる等、生活+αの目標も重要視しています。
一人ひとりの生活スタイルを知るための手段としてADOCを活用しています。
ADOCはセルフケア、家庭生活、趣味、対人交流等の内容の中から患者さん自身が大切にしている事をタッチパネルで選び、患者さんとリハビリ療法士で目標を共有するツールです。
(写真① ADOC実施場面)
(写真② ADOC 患者さんが選択された目標)
私も担当患者さんにADOCを使用し生活動作以外の趣味、家庭での役割を聴取しリハビリ内容に組み込んでいます。最近ではペットに猫を飼っていた方のリハビリを行いました。餌をあげられるようにかがむ練習を行ったり、抱っこして歩けるようになるため、重りを猫に見たてて両手で持ち歩く練習などを行いました。最終的には安定した動作を獲得され「猫も家族だからね。世話ができるようになって良かった」と言われていました。
作業療法士として、その人らしい生活を再獲得してもらう =(イコール) 生きがいに繋がると考え、日々のリハビリを行っています。今後もその人らしさが引き出せるリハビリテーションを目指して、日々奮闘していこうと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
※無断転載禁止
※文責:作業療法士K
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