理学療法士のAです
今回は、
チーム医療の一つである褥瘡回診
について紹介したいと思います。
写真は回診の様子です。
本院では毎週木曜日に褥瘡回診を行っています。
回診と聞くとドラマ(白い巨塔?ドクターX?)などで大名行列を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんが、全く違います!
褥瘡回診は、4~5人のスタッフ(医師、看護師、栄養士、理学療法士など)で褥瘡を発症している患者さんの状態を把握しながら治療、ケア方針の提案等を行っています。
では「褥瘡」とは何か?
一般的に言われているのは「床ずれ」と言われています。
痩せている人なら短時間でも同じ姿勢で過ごすことで、骨が出っ張っているところに皮膚が赤くなってきたりします。その状態がすでに軽い褥瘡と言われています。ひどい状態になると身体に穴が開き、骨までじかに見えてしまいます。当然痛いです。ただ、ひどくなると神経までダメージを受けて、痛みが感じなくなってしまいますが…。
実は褥瘡には「褥瘡」と「褥創」と二つの漢字が色々な文献で載っています。意味は一緒なのですが、「日本褥瘡学会」では「褥瘡」が適切としています。褥瘡は切り傷のようなものではなく潰瘍なので「瘡」を使うそうです。日本語の難しい点…。
回診には医師、看護師、栄養士、リハビリ療法士が一緒に参加して行っています。治療は医師が、ケアの提案は皮膚・排泄ケア認定看護師が、実際のケアは病棟看護師が、栄養状態の把握及び追加カロリーの提案は栄養士が、そして褥瘡予防方法や姿勢の調整や運動はリハビリ療法士が提案していきます。
よくTVや本にも言われている「チーム医療」が目の前にあり、一つの症状の改善に様々な分野の職種が関わりあっています。
褥瘡の発生は
・組織の脆弱性
・荷重の集中
・ズレ
以上が主な要因になります。
この3つを予防するために、組織の脆弱性に対するアプローチは栄養士や看護師が中心に行い、荷重の集中とズレはリハビリ療法士がアプローチしていきます。
方法としてリハビリ療法士は、ポジショニングやシーティングの提案、可動域制限改善のための可動域練習、基本動作の介助方法の改善等多岐にわたります。
褥瘡は病院内で発症することもありますが、ご自宅や施設で発症してしまい、治療のために入院される方も多くいらっしゃいます。つまり、家に帰ってからも発生する可能性があるので褥瘡予防のポイントを伝え、実際に行っていくことが重要です。そのため当院では、訪問リハビリのスタッフも一緒に参加しており、自宅に戻られる際に訪問リハビリの使用を提案し、退院後に介入されることもあります。
以前お尻にある骨の仙骨ほぼすべての部分に褥瘡ができ、骨が見えるまで悪化してしまった方がいらっしゃいました。当初は治らないだろうと言われていましたが、退院するときには褥瘡がふさがるところまで回復されましたその際に理学療法士として圧がかからない姿勢の指導や体が硬くならないような可動域練習など行い、悪化しないように関わりました。褥瘡の治療に半年以上かかりましたが、回復の手助けになったと思います。
一例をあげてみましたが、このようにリハビリは、機能改善だけでなく、予防、介助者の負担軽減等出来ることはたくさんあります。リハビリの持ち味を出しながら、他の職種と協力し合い患者さんのQOL向上を目指しています。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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