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橈骨遠位端骨折のリハビリテーション 生活を支える手を目指して~患者指導の工夫~
2024-9-25【カテゴリー】OTの仕事/リハビリ部 部長より

今回は、橈骨遠位端骨折後のリハビリテーションについてお伝えします。
転倒によって起こる女性に多い骨折です。手術前から手術後、入院から外来への移行までの当院でのリハビリテーションとその中で工夫している指導書についてご紹介します。

橈骨遠位端骨折は、高齢者の骨折で代表的な四大骨折の内の1つです。
≪高齢者の骨折で代表的な四大骨折≫
 ①大腿骨頚部骨折 
 ②脊椎圧迫骨折 
 ③橈骨遠位端骨折
 ④上腕骨近位端骨折
 (公益財団法人長寿科学振興財団、健康長寿ネットより)  

 (松下 隆、「整形外科医から見た骨粗鬆症における脆弱性骨折の予防と治療の現状」より)

手術前後の大まかな流れは以下のようになります。
当院では、入院すぐに必要性を判断し、術前からリハビリテーション処方がされ、作業療法士が介入を行います。
高齢者でバランスや移動能力の低下もある患者さんについては、理学療法も処方されます。

1.手術前日(≒入院当日)

術前評価を実施します(理学療法および作業療法)
 ▶指の運動状態・感覚障害の有無・疼痛評価・患部外の状態(起居移動も含めて)
 ▶高齢者の場合、入院による認知機能への影響はないか?
 ▶患部外の自主トレーニング指導
 ▶術後の運動指導とリハビリテーションの流れの説明
 ▶術後の外来リハビリの必要性と通院先などのご希望の聴取・調整
 約3ヶ月ほどは自転車に乗れませんので、通院の経路なども含めて調整を行います。

2.手術当日

リハビリはお休みです

3.手術翌日(退院)

 術後のリハビリテーションの開始です。
  ▶アイシング指導・禁忌事項の指導
  ▶就寝時の患肢管理について(ポジショニング)
  ▶指や手首の運動開始(主治医の指示の範囲内で実施します)
   術前にお渡しした指導プリントを使用して実際にやってみます。
  ▶肩甲骨の運動指導(疼痛が自制できる範囲内で行います)
  ▶ADL(日常生活動作)指導 
   骨折した手関節の安静度を守りながら、行えるように指導練習します。
  ▶外来リハビリオリエンテーションと予約
   退院許可が出ている場合は実施します
   *退院は主治医の許可の状況によりますが、手術翌日退院される方も
    増えており、患者さんの状況に合わせて実施しています。
   *紹介元の病院やクリニックで外来リハビリが可能である場合は、紹介元へ
    申し送りを行います。
   *施設退院などの方の場合は、退院時に介助上の指導ポイントなどをお伝えします。

  

4.術後4週間(目安)

 外来リハビリテーション通院を行います。
 退院直後は週2回程度、自主トレ実施状況や患部の状態によって週1回へ変更していきます。この間、重いものを持ったり手をつかないように注意しながらかつ、許可された範囲内では手をつかっての生活をしていただきます。
 関節可動域の改善を図るとともに、握力や指の力をつける練習を行っていきます。

5.術後4~6週目

 骨癒合の状態によって、荷重許可が出ます。
 主治医の指示に従って、荷重練習を行っていきます。
 生活上の支障が軽減し、ご不安もなくなれば、おおよそ8~12週で終了となります。

このような流れ・プログラム内容で入院~外来・リハビリ終了までフォローしています。

ADL指導の際には、

を活用しています。

当院では月に約3~4名、橈骨遠位端骨折の手術があります。
そのほとんどの方は手術を行い、術後翌日~翌々日には退院され外来リハビリを行います。
紹介元の病院やクリニックでリハビリができる場合はご紹介させていただき、通う場所がない方は、当院で外来リハビリを実施しています。

患者さんの多くは、過去に骨折をしたこと、手術をしたことがない方が大半であり

 「手術の後はどうなるの?」
 「手は動くの?」
 「痛いの?」
 「手を使ってもいいの?」など、多くの疑問を持たれています。

当院では、そういった患者さんの不安の軽減と、ハンドセラピー※の目標である「生活する手」(制限がある中でも生活の中で使用する手)として能力の拡大を図ることを目的にこの案内書を作成し、患者さんにお渡ししています。

橈骨遠位端骨折後のリハビリの案内書の内容は
 「一般的なリハビリの経過について」
 「してはいけない動作」
 「手術後の手の使用について」などです。

どれも大切な事ですが、なかなか一度聞いても理解が難しいものです。
パンフレットにすることで、ご自分でも何度も確認していただけますし、写真も沢山載せているため、動作がイメージしやすいようになっています。

骨折後の生活では、はじめてのことが多く、少しのことで心配になり不安になってしまいます。術後は腫れたり、動かしにくい時期があり、痛みやしびれが出ることもあります。

「痛い」=「よくないことが起こっているのでは?」と心配になり、手を使わなくなることがあります。

私達作業療法士が関われる時間はごくわずかであり、訓練以外の時間がとても大切です。
関節の角度や筋力などの検査結果だけではなく、患者さんが「手が良くなった」「痛くならずに家事ができた」など生活の中で実感してもらうことが大切だと思います。その少しでも助けになって欲しいという想いをこめ、患者さんにこの案内書をお渡ししています。

患者さんの生活がよりよくなる為の取り組みを今後も継続できればと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

※ハンドセラピー:患者が自らの手をどのように使用して生活していくかを学び習得する過程である。引用 鎌倉矩子:作業療法士のためのハンドセラピー入門 第2版  2006年

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 ・急性期リハビリテーション課
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