急性期病棟で勤務する作業療法士のよくある悩みの一つに、患者さんの大切な作業を行うタイミングについてがあります。
急性期病棟では、リハビリ目的で入院してこられる方は少なく、患者さんの多くは予期せぬ入院でリハビリテーションが必要になった方です。入院初期は混乱されていたり、未来のことが考えられないので、聞き取りが難しいと感じます。また、訓練を進めていく中では、やはり、大切にされている作業を含めて関わりたいものです。
短い在院中でどんな風にアプローチしたらいいか日々悩みながら取り組んでいます。
以下、大事にしていることをあげてみました。症例検討会でも、よく話題になるテーマでもあり、症例ごとに事情が異なるので相談しながらベストを探していきます。
患者さんとの最初の接触では、基本的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが重要です。入院して間もなくは、知らない場所やスタッフばかりで不安も大きいです。体も自由が利かずにどうなってしまうんだろうと不安もあると思います。優しく、穏やかな声で話しかけることで、まず安心していただくことが大事です。
患者さんが混乱していたり、未来のことを考えられない場合、不安や恐怖を感じることがあります。そのような時には、安心感を提供することが大切です。まず、作業療法はどういうことをするのか?療法士はどんなことを助けてくれる存在なのかを伝えるように心がけています。
入院直後は、今日明日どうなるのか、今後同じような生活が送れるのだろうか、費用面ではどれぐらいかかるだろう…など不安でいっぱいで、とても退院した後の事を考えることが難しい場合もあります。患者さんがあまり考えられない状態の場合、長期的な目標を設定するのではなく、まず、短期的な小さな目標を設定することが効果的です。例えば、ベッドサイドでの座位保持や身の回りの動作の一部を行うなど、小さな成果を目指します。
患者さんが混乱していたり、未来のことが考えられない場合、時間の配慮が重要です。患者さんの体調や状況を考慮し、適切なタイミングでアプローチを行います。急がずに患者さんのペースに合わせて進めることが大切です。
私が、若い療法士によく伝えるのが、「一度に全部聞き出せなくても大丈夫」ということです。やっているうちに見えてくることがありますし、気持ちによって変更することだってあると思うのです。折々の患者さんの気持ちを察知して、サポートできるように心がけたいと思います。
若手の療法士でも支援しやすいように、当院ではADOCやCOPM、MTDLPといったツールを活用することを推奨しています。おひとりお一人にベストな治療が提供できるように、引き続き取りくんでいきます。
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社会医療法人有隣会 東大阪病院
リハビリテーション部
・急性期リハビリテーション課
・緩和ケアリハビリテーション課
・回復期リハビリテーション課
文責:リハビリテーション部門 部長 椎木
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TOYOTAが開発した最先端のロボット機器 ウェルウォーク(WW-2000)を導入しました。
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