今回はパラスポーツと理学療法士 ~パラスポーツにおける理学療法士の役割~と題してお話したいと思います。
理学療法士になったきっかけとして、自分がスポーツに携わっている際の怪我をきっかけに、この職種を知り、目指したという声を度々耳にします。
しかし、総合病院勤務では、理学療法士としてスポーツに直接携わることは少ないのが現状です。
ありがたいことに、私は、院外活動の一つとして関わることができているので、今回はそれを紹介したいと思います。
パラスポーツをご存知ですか?
パラスポーツとは、障害のある人が行うスポーツのことです。
障害があっても能力を生かしてスポーツ活動ができるように、一般的な競技のルールを障害に応じて変更したものやパラスポーツ独自に実施される競技など数多く存在します。以前は障害者スポーツともよばれていましたが、福祉やリハビリのためのスポーツというイメージを変えようと、現在は呼び方を「パラスポーツ」に統一されました。
パラスポーツをプレイするのは健常者ではありません。しかし、それを指導する人が存在しており、彼らをパラスポーツ指導員と呼びます。
パラスポーツ指導員とは?
公益財団法人日本パラスポーツ協会及び加盟団体等が、公認パラスポーツ指導者制度に基づき資格認定する指導者で、日本国内のパラスポーツの普及と発展を目指して、パラスポーツのスポーツ環境を整備する上で専門的な知識、技術を有する人材の養成、資質向上を目的としています。(公益財団法人日本パラスポーツ協会から引用)
パラスポーツに携わるにあたり6つの資格があります。
初級、中級、上級のパラスポーツ指導員とコーチ、トレーナー、スポーツ医が存在します。
ありがたいことに、日本理学療法士協会会員であれば、中級のパラスポーツ指導員を受講することができます。
各パラスポーツには体験会が開かれることが多くあります。
この度、私自身の趣味と以前取得していた中級パラスポーツ指導員の資格を活用し、下肢切断の少年のスノーボードの指導を見学、体験してきたので紹介したいと思います。
当初、この体験会は、もう少し大きな会として開かれる予定であったのですが、雪不足により、個人単位での開催になりました。
少年は今回のスノーボード以外にも、水泳や陸上、サッカーなどのスポーツにもよく参加されていて、ウィンタースポーツとしてスノーボードも経験してみたいということで、実施することとなりました。
彼は右大腿切断で、スノーボードは初体験の場だったこともあり、義足は自身が普段移動時に使用しているものでのスノーボードの装着となりました。
よく見かけるのはチェアスキーと言われるソリ部分と椅子部分がくっついているものですが、義足でのスノーボードは、義足を装着してのスノーボードなので、見た目は健常者と見分けがつきません。
写真↑:チェアスキー
パラスポーツ指導員の仕事 〜スノーボード編〜
装着の仕方、立ち方、バランスの取り方、平地での滑っている感覚などを介助しながら、時にはフラフープを用いながら教えていきます。
実際のこけかたの練習もします。
平地をフラフープでつま先荷重、踵荷重のバランス、スピード感を感じてもらいます。慣れてきたら、実際の斜面で、踵荷重での滑り方、つま先荷重での滑り方、ブレーキの掛け方など体験してもらいました。
彼はスポーツを多数していたこともあり、非常に体幹が強く、飲み込みも早かったので、1日で斜度のある場所を経験することができていました。
写真↑:スノーボードの装着
写真↑↓:フラフープを使って滑る練習
今回体験会を見学してみて、感じたことは、スノーボードと言うスポーツの特性は知っておく必要があるのはもちろん、義足についてももっと知識をつけないといけないなと感じました。
今回の彼は普段の義足でスノーボードを体験しているため、膝が適度に曲がったまま滑ると言うことができず、完全に膝をロックしたまま滑るしかできなかったのです。そのため、立ち上がる際にも介助が必要となり、滑る際の下肢の操作においても、健側である左下肢と体幹を過剰に使用し代償することで滑る方法をとらないといけなかったのです。
今回の指導員の方は理学療法士ではなかったため、見学・体験を通じて理学療法士として感じたことは、怪我予防の体の使い方や、そのスポーツに見合った、装具や道具の選定もできる必要があるなと、改めて学んだ1日でした。
装具や道具の選定については、院内外関係なく、理学療法士の求められているところだとは思いますので、今後も、学び続けていきたいと思います。
今回はパラスノーボードの一端を見ることができました。
また、他の障害者スポーツについてもご紹介できればと思います。
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社会医療法人有隣会 東大阪病院
リハビリテーション部
急性期リハビリテーション課
緩和ケアリハビリテーション課
回復期リハビリテーション課
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TOYOTAが開発した最先端のロボット機器 ウェルウォーク(WW-2000)を導入しました。
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