われわれ、理学療法士(PT)は自身の専門性を活かして、身体に障害のある患者さんに対し、基本動作(寝返り・起き上がり・立ち上がり・座位・立位・歩行)の獲得、身体機能の回復目的で理学療法(運動療法など)を実施します。しかし、患者さんに信頼される理学療法士になるには、専門性の他に、もう1つ大切な要素があります。
それは 「カウンセリング力」 です!!
~そもそも カウンセリングとは??~
元々の意味は、「相談」「助言」のことです。
こころの診療においては、医師やカウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行う治療を意味しています。指導や援助といっても、医師やカウンセラーは具体的な指示をすることもあれば、ただ話をまとめるだけのこともあり、また治療にかかる時間についても様々です。悩んでいたり、つらい気持ちの時には、自分の気持ちがよくわからなかったり、どうしたらよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。自分のことを話し、それをしっかり聞いてもらうことで、問題点が整理できたり、解決への糸口が見つかったりします。
カウンセリングは、どうしたらよいのかのアドバイスを受けたり、答えを出してもらったりするためのものではありません。自分自身の力で立直っていくきっかけをつくったり、気持ちや考え方を整理していくサポートを行ったりするのがカウンセリングなのです。
(厚生労働省HPより、こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~ から全文抜粋)
~なぜ、理学療法士(PT)にもカウンセリング力が必要なのでしょう??~
身体に障害を有す患者さんの多くは、
「なぜこんな病気になってしまったのだろう・・・」
「なんであんな所で転んで骨折してしまったのだろう・・・」
「元の生活に戻れるだろうか…」
「ちゃんと仕事に復帰できるだろうか・・・」
と、思い通りに身体が動かない・動きかしにくい、という身体の不自由さ身体の痛みだけではなく、
・今後の生活への不安や失望感
・病気やケガを負った自分に対しての怒り
さまざまな“こころの不安”を抱えていることがあります。
理学療法士(PT)の私が、患者さんに対してリハビリテーションを提供する際には、専門的な評価はもちろんですが、まずは患者さんの「こころの不安」について傾聴するように心がけています。
突然病室を訪れて、「さあ、○○さん、リハビリしましょう!!」とお誘いしても、何者なのかわからない人に自分の身体を預けることはできないでしょうし、不信感しか与えかねません。
まずは、
・体調はどうか?
・睡眠はとれたか?
・食事は摂れたか?
・痛みはあるか?(その程度は?)
など、入院後の生活や身体の状態について一つひとつ丁寧に確認していきます。
患者さんとの良好な関係作りで大切なことは
「今、何に困っているか?」を訊きだすことです。
それこそが、患者さんが抱える「こころの不安」そのものだからです。
すると、患者さんは「昔は○○ができたけど、今は…」と、自分の身体と心の状態を少しずつ語ってもらえるようになり、リハビリテーションの目標設定にも非常に有効です。
患者さんが今後の生活(人生)で必要と思うことと理学療法士(PT)が必要と捉える(評価する)ことは、必ずしも一致するとは限りません。
リハビリテーションを行う上では、個々の患者さんの生き方や考え方など
“人生観”をうまく引き出しのがコツかもしれませんね。
~事例紹介~
過去に私が担当していた患者さんから、ある言葉をかけていただいた経験があります。
その言葉とは…
「骨折後、手が上がらなくて主治医の先生から手術を勧められたけど迷っています。でも、あの時、Yさんに相談して勇気づけられた一言を言ってもらえたから、手術するって決心したんです。おかげで今は腕も動くようになりました。本当にありがとうございました。」
今振り返ると、単に患者さんの怪我をした上肢の運動機能やADLの向上を図るだけでなく、『患者さんの気持ちの問題を聞き出し、整理したこと=カウンセリング』が“気持ちの後押し”に繋がったのではないでしょうか。
20余年、理学療法士(PT)として広くリハビリテーションに従事してきましたが、患者さんの気持ちに寄り添ってリハビリテーションができた瞬間でした。
~おわりに~
これからも当院の若手理学療法士(PT)への臨床指導などを通じて、患者さんの身体と心に寄り添い、良好な信頼関係の構築を行って安心・信頼のおけるリハビリテーションの提供ができる療法士の育成に努めて参ります。
また、臨床経験のある理学療法士(PT)の方、このような想いに賛同いただける理学療法士(PT)の方を当リハビリテーション部は募集しています(2023年5月26日時点)!!
ぜひ、皆さんの“カウンセリング力”を活かして、当院で一緒に働いてみませんか!!
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社会医療法人有隣会 東大阪病院
リハビリテーション部
急性期リハビリテーション課:理学療法士 矢越
緩和ケアリハビリテーション課
回復期リハビリテーション課
〒536-0005 大阪市城東区中央1丁目7-12
TEL : 06-6939-1125
FAX : 06-6939-7474
Mail: kikaku@yurin.or.jp
TOYOTAが開発した最先端のロボット機器
ウェルウォーク(WW-2000)を導入しました。
【ウェルウォーク(WW-2000)特設ページ】
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