作業療法の評価法の一つにAMPSというものがあります。
AMPS(Assessment of Motor and Process Skills/AMPS)とは?
対象者自身が遂行したい・する必要のあるADL/IADL課題をするための能力を評価するという、作業療法場面で用いる作業遂行のテストです。121課題あるリストから、対象者が馴染のある課題を2課題遂行するだけで、その対象者の能力と遂行の質を評価することが出来るツールになります。認定評価者になるには、講習会に参加し、評価者として認定されることが条件となっています。以前までは5日間の講習会と参加後3ヶ月以内に10名の観察によるデータを提出することが必要でした。現在は、コロナウイルス感染症の影響から、リアル受講からオンライン講習へと方法が変わっているようです。
今回、当院リハビリテーション部の職員であるMさんが認定評価者になることが出来ました。Mさんは二年目の作業療法士(OT)です。Mさんにインタビューし、認定評価者を目指したきっかけや今後について聞いてみました。
Q1.なぜAMPS認定評価者になろうと思ったのですか?
作業療法士として自信をつけたいと思ったからです。AMPSでは評価結果から介入の方針が示され、その方が地域で暮らせるかどうか、どの程度の介助量が必要かについて療法士の主観ではなく客観的に示すことができます。前述の通り認定評価者になるためのハードルは高かったですが、コロナ禍をきっかけに自宅でのオンライン講習となり受講しやすくなったことが認定評価者を目指す決め手となりました。
Q2.興味を持ったきっかけはありますか?
入職以降、作業療法理論に興味を持ち、特に人間作業モデルを中心に勉強してきました。人間作業モデルで使用される数多の評価法の中にAMPSがあり、作業中心のその評価に作業療法士のアイデンティティを感じ、魅力的だと思いました。
Q3.認定評価者になるまでの流れを教えてください。
受講者には30日間で約25時間分の動画を視聴し、設問に回答することが課せられます。動画内の音声、字幕は全て英語ですが、DeepLやGoogle翻訳などの翻訳アプリを使用することで内容を理解することは容易に可能でした。また、日本人講師による週1回のグループミーティングで質問をすることができるため、サポート体制も充実していると感じました。
Q4.講習会の受講や実際に評価したことで変わったことはありますか?
受講後は観察すべきポイントが明確になったと感じました。AMPSには運動技能・処理技能の計35項目があり、それらの項目に沿って観察したことを言語化できるようになったと思います。
Q5.今後どのように作業療法の実践に活かせそうですか?
第一にAMPSの知識を利用することで、どんな動作が苦手なのか、どんな場面でリスクがあるのかを、自信をもって他職種に説明できるようになると思います。第二に評価結果から、身体機能の回復を目指すのか、動作習得を目指すのか、代償手段を検討するのか、根拠を基に効果的な介入ができるようになると考えています。
Q6.今後の作業療法士としての展望をお聞かせください。
今は作業療法理論の勉強が楽しくて、作業モデルの勉強ばかりに偏ってしまっています。これからは医学的な知識も更に身につけて、作業モデルと医学モデルどちらも高レベルで実践できるハイブリッドな作業療法士になっていきたいです。将来的には認定作業療法士の取得も視野に入れています。クライエントのために、これからもコツコツと勉強を続けていきます。
私自身も作業療法士になって4年目の時に受講し認定者となりました。AMPSは患者さんの作業遂行場面をあるがまま観察し点数化していきます。当時一緒に受講した先輩療法士は「経験年数を重ねるとあるがままを観察するのではなく変な解釈をしてしまい安全に作業遂行出来るのかの判断ができなくなる時がある」と話してくれたのを覚えています。私も経験が浅いうちに認定者となったのでMさん同様に受講後は作業遂行場面の評価の視点が増え、客観的データをもとに患者さんや家族さんに説明することが出来るようになりました。同じ視点で話ができる療法士が増えたのは嬉しく思います。
Mさんは2年目の作業療法士ですが、主体的に作業療法士としてステップアップ出来るように取り組むことが出来ています。この主体的な行為が周囲にいい影響を与え全体として治療の質の向上に繋がると思います。今後もMさんの活躍を応援していきます。
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社会医療法人有隣会 東大阪病院
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