当院で行っている作業療法士向けの研修(必須推奨プログラム)の中に、「ADOC」と「COPM」に関する研修があります。
作業療法を行う中で、患者立脚型評価(患者の主観に基づいて評価を行うこと)を用いて患者さんの希望や治療の効果判定を行うことや作業療法士がこれらの評価ができるようになることは大切なことです。療法士目線からの評価のみに偏ってしまうことは治療に関して、本当に患者さんが必要とすることを見落としてしまったり、患者さんの満足度が下がってしまったり、患者さんが治療に対して受身的になってしまう可能性があるからです。ですので、当院では、必須推奨プログラムの中に、「ADOC」と「COPM」ほかにもOT協会が取り組んでいるMTDLPに関しての研修を含めています。2021年度もコロナ対策で、予定していた研修をやむなく中止にしたこともあったのですが、「ADOC」と「COPM」の講座を、コロナ(オミクロン株)が流行るまでの間に何とか開催ができました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<<以前投稿した「ADOC」と「COPM」と「MTDLP」の記事>>
・COPMの記事は コチラ
・以前のADOC COPM研修の記事 コチラ
・MTDLPの記事は コチラ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
患者さん役とリハビリ療法士役になって、実際の評価『ADOC』を体験しているところ。
もう一人の参加者は客観的にやり取りをみて、フィードバックをしてあげます。
コロナ禍で、マスクとゴーグルしながらの受講になっています。
この研修会は、どうして作業療法士にはADOCやCOPMが使えるようになることが必要なのか、それぞれが開発された歴史的背景、COPMのやり方、COPMの実践、ADOCのやり方、ADOCの実践といった内容になっています。講義を聞くだけではなく、実際にやってみる体験を含めていることがポイントです。
今回紹介しているADOCやCOPMの講義だけでなく、その他の講義も部分的に体験型になっていて、普段の治療の際に取り入れやすくなるように工夫しています。
今回の参加者は、急性期配属の作業療法士が3名、回復期リハビリテーション病棟配属の作業療法士が3名、しかもそれぞれの中で経験1~3年目までとそれ以上の療法士がバランスよく参加してくれて、参加者の中にはすでに使ったことのある療法士もいて、お互いの経験を交えながら体験をしてもらうことができました。
特に良かったのは、それぞれの病棟である目標設定を患者さんと話し合っていく際の悩みについて共有したり、話ができる機会になったことです。急性期では、高齢者やがんの患者さんで機能回復することが難しい方を対象とすることがあります。また、回復期リハビリテーション病棟では、脳血管疾患などで重度の麻痺があるなどして、回復が難しい場合もあります。それぞれ、これから「どうなりたいか?」「なにができるようになりたいか?」を引き出していく事が簡単ではありません。コロナなどになる前なら、普段の仕事中や、職場以外の飲み会などでいろいろ話す機会もあり、「こうすればいいのでは?」「わたしだったらこうするよ」「こうしてみたらうまくいったことがあるよ」など話すことができたのですが、今はほとんどそのような話をする機会がなく、なかなか聞けない悩みを相談できる場になったことは、やってよかったなと思います。
2022年度も、コロナ対策をしながら必須推奨プログラムを行っていく予定です。一部の講義で、講師の世代交代や内容のブラッシュアップを図っていく予定です。
*無断転載禁止
*文責:作業療法士 椎木洋子
関連記事