皆さんこんにちは、東大阪病院リハビリテーション部 部長の椎木です
今日は2020年年末の、とある日の夕方、せっせと作業をしていたある療法士(言語聴覚士)のお話をご紹介したいと思います。
言語聴覚士とは?
言語聴覚士は、リハビリ分野で活躍する専門職で、理学療法士や作業療法士と並ぶ国家資格です。 英語では、Speech Language Hearing Therapist、略してSTと呼ばれることが多いです。言語や聴覚、音声、呼吸、認知、発達、摂食・嚥下に関わる障害に対して、その発現メカニズムを明らかにし、検査と評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、支援などを行う専門職です。
当院の勤務時間は通常の日勤業務だと17時まで。
17時前後は、申し送りやカルテ入力、明日の準備と仕事の追い込みの時間で、みんな必死でPCに向かっています。
そんな時間に、机の上いっぱいにカードを並べて作業している言語聴覚士(ST)さんが‥‥
「何してるの??」と声をかけると
カードがバラバラになっているのをそろえているとのこと。
カードとは、言語聴覚士(ST)なら必ず使う「言語訓練用絵カード」です。
一面にイラストが描かれていて、他面にひらがなや漢字が表記されているカードです。
2020年に言語聴覚士部門では訓練室の5Sを進めてくれていて、訓練室にあった不要なものは廃棄され、必要なものが使いやすいように整備されつつありました。その中で、このカードがバラバラになっているのをみつけて少しずつ時間を見つけては整理していたというのです。
バラバラに…というのは、もともと4セットあったのですが、1セットと思われているカードの束の中に同じカードがまぎれこんでいたり、無くなっていたりして治療の時にとても使いにくい状態になっていました。
このカードを使う度に「あれ??なんで??おかしい??」と気が付き、言語聴覚士(ST)間では、話になっていたそうです ただ、整理するとなると時間もかかるため未着手のままだったようです・・・・・
私も言語訓練用絵カードがあるのは知っていましたが、まさかそんな状況になっているとは・・・全く気が付いておらず…本当に穴があったら入りたい状態でした。
絵カードは1組100枚程はあります。
それが4組分、つまり400枚以上のカードがあって、私が目撃したのは、それをだぶらないように並べ替え作業しているところでした。
400枚って!?
カードの山を見るだけでも気がズーンと重くなりそうです
あの作業は、とても難しい神経衰弱状態です…。
1回では終わり切らないので、時間を見つけては作業をしていたとのこと。
絵カードの隅に組ごとに違うシールを付けて…
秀逸なアイデアだなぁっと思い、その作業の様子に、とても感動して「写真を撮らせて」と今回のブログにさせてもらいました。
(隅にシールを貼っています。言語聴覚士(ST室)ごとにシールの色が違っていて、万が一間違って片付けてもすぐに整えなおすことができます)
さらに大感動だったのは、
他の言語聴覚士(ST)にも、「聞いたよ~大変な作業してくれてて、ありがとうね」と声掛けした時、今いる言語聴覚士(ST)のみんなで、未来の同僚(今後入職してくれる療法士)のために「仕事がしやすい環境に整えておこう」と、忙しい合間、時間を見つけてすすめてくれていたとのこと。
これ、感動・感謝以外言葉がありません
当院の言語聴覚士(ST)達は、忙しくても「私、新しい入院患者さん担当できますよ~」と、快く引き受けてくれます。
療法士であれば、患者さんとのリハビリ時間を1分でも多く持ちたいと思うのは自然なことですし、17時ともなれば疲れていて、残業はせずに早く帰りたいと思うと思います。しかし、こうやってコツコツと働く環境整備に取り組んでくれています。この原動力は、言語聴覚士(ST)の仲間が働きやすく、患者さんがベストな治療を受けられる環境を作ろうという思いから来ているとのこと。
もう、感動しかありません
頑張っている療法士を前に、写真を撮っている管理者。
のんきな感じにも見えてしまうかもしれませんが、この瞬間、こんな素敵な療法士がいることを、これは伝えずにはいられないと思い、思わず写真を撮らせてもらいました。
私が患者だったら、私の家族が患者だったら、ぜひこの言語聴覚士(ST)さんたちに担当してもらいたいです。
最後に、当院には言語聴覚士(ST)だけではなく、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)にも素敵な療法士がたくさんいます。
もちろん、医師や看護師にも
また、別の機会にご紹介していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
文責:作業療法士 椎木
*無断転載
関連記事