回復期リハビリテーション課の福田です
今回は先月に引き続き、運動器超音波(運動器エコー)について書きたいと思います。
読んでいただきましたでしょうか?
先月の記事『 運動器超音波(エコー) × リハビリの技術向上 』
今回はそのパート2です。
さて、リハビリ療法士の皆さんは痛みのある方にどのような評価を行っていますか?
圧痛所見(押してみて痛みがあるか)、運動時に痛みが出るか、伸ばすと痛いか、ストレステストで評価を行うなど、様々あると思います。当院では上記に加え、超音波画像診断装置(以下エコー)を使用しての評価を医師、検査技師と協力して実施しています。
エコーを使う利点は
①痛みがなくリアルタイムの状況を確認できる
②触診で気付かないような微細なことが分かる
③画像となるため、他者と共有しやすい
などがあります。
実際に肩に痛みがあった方を例とし、当院での活用方法を説明していきます。
この方は、肩を上げようとすると肩の前面に痛みが出ました。
圧痛所見もありました。
そこで痛みの出ている部位をエコーで撮ると下図のように映りました。
写真➂
写真②では上腕二頭筋の長頭腱周囲が低エコー(黒色)でした。これは水分が貯留していることが考えられます。また、同部位を写真➂のようにドプラモード(血の流れなど、物体がプローブに近づいているか遠ざかっているのかを判定するモード)で撮像すると、痛くない側ではみられない反応がありました。これは上腕二頭筋長頭腱の付近が炎症していることが考えられます。
この所見を受け、リハビリでは肩を曲げる時に肩の前面、とくに上腕二頭筋長頭腱に負担が集中しないように取り組みました。具体的にはまず、棘下筋、棘上筋、肩甲下筋を促すようにし、その後、肩の後面、とくに小円筋、大円筋、小・大菱形筋の筋肉もきちんと使えるようにリラクゼーションと筋の促通を行い、それから肩を曲げる練習を行うようにしました。
再度1ヶ月後に撮った画像が写真④になります。
上腕二頭筋長頭腱周囲にあった低エコー像は消え、肩の痛みも改善していました。
エコーによって、さまざまなことが可視化されることで、効果判定が明確になります。
担当療法士には、実施したリハビリの結果が、明確にフィードバックされます。
今回のような良い結果の積み重ねが自信へと繋がります。
改善へと繋がらなければ、そのほかの原因追及を行います。原因追及とそれに対するリハビリを繰り返すことは、より早い回復、そして安心で安全な生活へ結びついていきます。
もし、このブログを読んで当院に興味を持たれた方がいましたら、一緒に働き、学んでいきませんか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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