管理職ブログチーム 理学療法士 Y です
すっかり朝方が涼しくなった今日この頃…
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
引き続き、「不要不急の外出」や「3密」は控え、自宅でも感染対策を怠らないようにしましょう!!
さて、今回のテーマは
「肩関節の理学療法 ワンポイントアドバイス」
と題して。
数年前、私は当院で肩関節腱板断裂術後のリハビリテーションに携わり、解剖学的・運動学的な知識及び治療技術の向上に勤しんでいました。
肩関節疾患と呼ばれる疾患には
・肩関節周囲炎(いわゆる五十肩など)
・外傷による上腕骨骨折
・腱板損傷、腱板断裂
など多岐にわたります。
これらのリハビリテーションの経験を通じて、評価すべき共通項目が1つあります。
それは “posture”=「姿勢」 です!
私みたいな“古い”理学療法士は「態度・構え」とも表現することがあります ※バイザーが言いませんか??
私が思うに、「肩関節の治療 = 全身の評価が必要」と捉えています。
たとえば、若手理学療法士にこのような症例を担当させると、一体、何が起きるか想像できますか??
答えは・・・たいがいの理学療法士は「悪い部分の治療」から開始してしまいます。
一見、患者さんの患部に焦点化して治療しているので、これ自体は大きな間違いではないと思います。
しかし、残念ながら「肩関節の解剖学的・運動学的知識が乏しい」と感じざるを得ません・・・
なぜなら、肩関節は「複合関節」という特徴を持っており、「肩甲骨は運動」は、良くも悪くも“姿勢”の影響を強く受けるからです!!
【肩関節を構成する関節】
・肩甲上腕関節:上腕骨頭と肩甲骨臼蓋との関節
・胸鎖関節 :胸骨と鎖骨との関節
・肩鎖関節 :肩峰(肩甲骨の一部)と鎖骨との関節
・肩甲胸郭関節:肩甲骨と肋骨面(胸郭:肺を包む入れ物です)との関節
・肩峰下関節 :第2肩関節とも呼ばれる 烏口肩峰靭帯による烏口肩峰アーチと上腕骨頭との関節
『ここ重要!!』
肩甲骨の臼蓋と呼ばれる部位は、例えるなら「お碗型」の構造で、上腕骨頭と関節を構成します。
肩を動かす時、このお碗が“常に”正しい位置や向きにあれば、上腕骨頭(肩関節)の運動はすこぶる順調です。
しかし、そうでない場合に肩を動かした時、痛み(運動時痛)や違和感が生じることがあります。
これは「肩甲上腕リズム」と呼ばれる肩関節の運動学的仕組みに異常を来すことで生じるとされています。
この仕組みが破綻する要因は様々ですが、「不良姿勢」もその要因の一つです。
転倒や骨折もしてないのに、「肩が痛い」「背中が痛い」なんてことありませんか???
あるCMで「歩けないのは太ったせい? それとも膝が痛いから歩けない??」 ⇒ 「どっちも~~!!」
みたいなセリフがあったことを、覚えていませんか?
ヒトは痛みを感じると前屈みになったり、痛みのある部分を動かさないような逃避的行動をとる生き物です。
これらが長期間続くと、「痛みの負の螺旋」が形成されます。
要するに「痛み」と「姿勢」は、非常に強い関係性を持っている と言えますね。
【学生さんや若手理学療法士さんへのワンポイント講座】
・疼痛評価:安静時痛、夜間痛、運動時痛などの評価(最優先で安静時痛、夜間痛の緩和が必須)
・就寝時の評価と指導:夜間痛の緩和が目的、安楽な姿勢やポジショニングの評価とその指導
・姿勢評価:背臥位(仰臥位)、座位、立位姿勢 脊柱、肩甲骨アライメントの左右差など
・可動域評価(ROM-T)
・ 筋力評価(MMT)
・スペシャルテスト
・自主トレ指導 等など
まずは、解剖学的・運動学的知識を十分に頭へ叩き込みましょう!!(最低限の知識は必要です)
次に、患者さんの“全身”を観察・評価しましょう!!
(患部の評価だけでは、良い理学療法士になれません!!)
さらに、治療計画を明確に提示していきましょう!!
(説明と同意、患者教育・ラポールづくりに必須です)
そして、 “痛みの恐怖”を緩和できる具体的な手段を提案しましょう!!(安静時痛・夜間痛>運動時痛の順に)
最後に、患部外も含めた機能的な治療や訓練を実施していきましょう!!
では、今回はここまで~。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
※無断転載禁止
文責:理学療法士Y
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