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理学療法士が博士号を取得
2025-4-26【カテゴリー】PTの仕事/POSの本音/キャリアアップの秘密/その他

 回復期リハビリテーション課で勤務している理学療法士です。今年春(2025年3月)に博士号を授与されました。名称は「博士(医療科学)」です。

社会人大学院生としての生活を振り返って

 私にとって博士課程は、楽しいことより辛いことの方が多い期間でしたが、指導教員、研究室の院生や研究員、職場のスタッフ、家族、友人など、多くの人々の支えのおかげで、苦しみながらも3年間で無事に博士の学位取得に至りました。所属していた森ノ宮医療大学や研究室には、まだ何物でもなかった学部生のころから、修士課程、博士課程と合わせて9年間もお世話になりました(学部卒業後の研究員時代も合わせると13年間もお世話になっており、さらに博士課程修了後も客員研究員として席を置かせていただけることになったため、今後もお世話になり続けることになりそうです)。人生でこれだけ長い期間、一つのことを続けたことがないため、このような環境に身を置くことができたことに感謝するとともに、とても感慨深い思いがあります。

研究を始めるきっかけと研究内容

 私が社会人大学院生となり、研究を始めたきっかけは日々のリハビリを行う中で感じた

「なぜ、変形性膝関節症の患者さんには痛みが強い人とそんなに痛くない人がいるのだろう?」

「膝の中では、どんな変化が起きているのだろう?」

という単純な疑問でした。今思えば漠然とした疑問からのスタートでしたが、指導教員からの丁寧な指導や研究室の院生や研究員とのディスカッションを進める中で、徐々に研究が形になっていったように感じます。
 私が大学院で取り組んできた研究は、これまでもブログで取り上げていただいていますが、簡単に説明すると変形性膝関節症に関する研究を行っていました。変形性膝関節症では、関節周囲の滑膜や脂肪(膝蓋下脂肪体)が硬くなっており、これを線維化と呼びます。このような組織の変化は、痛みを感じやすくするだけでなく、変形性膝関節症が重症度と関連することが知られています。近年、組織における“低酸素状態”や“マクロファージの性質”が、炎症や線維化を引き起こされることが明らかとなってきました。そのため、変形性膝関節症で生じる線維化にもこれらの要因が関係しており、これらを標的に理学療法を行うことで線維化を軽減できるのではないかと仮説をたてて実験を行いました。その結果、変形性膝関節症の膝蓋下脂肪体の低酸素状態やマクロファージの性質を理学療法で変化させることが可能であり、線維化も予防できることがわりました。

社会人大学院生はおすすめできるか

 社会人大学院生はおすすめできるかと聞かれると「人による」という答えになります。なぜなら、大学院在籍中はけっこう辛かったというのが本音だからです。大学院に進学してからぐっすり眠れたことはありませんでした(夜中にハッと目が覚めることが多かったです。不規則な生活パターンのせいかもしれませんが、博士課程修了後はそういうことがなくなったように感じます)。また、24時間頭の片隅のどこかで研究のことを考えている感覚がありました(これが原因で妻によく怒られました)。これだけ書くと、社会人大学院生としての生活は辛いことだけのように感じますが、もちろん楽しいことややりがいもありました。自分たちの考えた仮説の正しさが証明された時や学会などで発表した際にポジティブな意見をもらえた時などはとても嬉しく、研究と続けていてよかったという気持ちになりました。
 研究とは、誰もやっていないことを考えたり調べたりするのであり、研究成果が得られずに数ヶ月進捗がないこともありました。そういう状況にも耐えられるというか、あまりふさぎ込まないようなメンタルの持ち主が向いているかと思います(研究がスムーズに進めばそんなメンタルは必要ないのですが…)。

当院における学術活動について

 すべてのリハビリ職員が研究活動をしているというわけではありませんが、当院のリハビリテーション部や回復期リハビリテーション課には、現在も社会人大学院生や大学の研究員として日々奮闘している職員が在籍しており、継続的に研究や学会発表を実施しています。
 いざ大学院に進学するとなれば勤務調整などのサポートもありますし、学会発表に必要な費用等を補助してくれる制度もあります。そのため、就職後に大学院への進学を考えている方だけでなく、研究を続けたい方にも安心して研究活動に取り組むことができる環境が整っていると思います。興味を持っていただけた方は、ホームページの学術研究活動も合わせてご覧いただけますと嬉しく思います。
 このブログ記事によって、皆さんが当院への興味をさらに深めてもらうことにつながればと考えています。

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社会医療法人有隣会 東大阪病院

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 ・急性期リハビリテーション課
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文責:回復期リハビリテーション課 リーダーK
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