[人工透析]
血液透析ろ過(HDF)について
血液透析ろ過(HDF)について
HDF(英語のHemodiafiltrationの略)とは、通常の血液透析に加えて、ろ過によって老廃物の除去をする治療です。
ろ過を行う際に、補液を同時に行います。
HDFでは、補液した分の水を引く力を利用して、通常の血液透析(HD)では取り除きにくい大きめの老廃物(β2マイクログロブリン,α1マイクロ゙ロブリン等)を除去することができます。
大きめの老廃物が体内に溜まっていくと、痒みやむずむず足病、透析アミロイドーシス(関節痛や運動障害を引き起こす病気)等の原因となります。
治療効果は、上記の腎不全の合併症の改善に加えて、貧血、食欲不振等の改善にも期待できます。
当院のHDFは現在2種類の方法で行っています。
オンラインHDF
大量の透析液(1回の治療で40~50L程度)を補液し、大量のろ過を行う比較的新しいHDFです。近年の主流の治療となってきています。透析液が体内に入っても問題とならないウルトラピュアな透析液が必要になります。
当院では透析液清浄化ガイドラインに準じて、管理方法をマニュアル化し適切な管理を行っています。月に1度、透析液の生菌数とエンドトキシン濃度の測定を行い、安全性の確認を行っています。
また、各透析コンソールにETRF(エンドトキシン除去フィルタ)の設置だけでなく、透析液供給装置にも微粒子除去フィルタ(微ET)を設置し透析液の清浄化に注力しています。
オンラインHDFの利点
血圧の安定
HDFは透析中の血圧が下がりにくいと言われ、透析中の血圧維持を目的に行う事ができます。また、普段の血圧も安定し、血圧のお薬の減量にも繋がります。
貧血の改善
透析を行うと貧血傾向になりますが、改善することがあります。
かゆみ、イライラ感の減少
老廃物の除去により症状が減少するという結果が報告されています。
透析患者の予後が改善
海外では生命予後を改善する効果があると報告されています。
普段の透析で取り切れない老廃物の除去
透析アミロイドーシスの原因とされるβ2ミクログロブリンを積極的に取り除き、合併症を予防します。
食欲の改善
老廃物の除去が優れているため、体調がよくなり食欲が改善することがあります。
オフラインHDF
歴史は古く、従来より行われてきたHDFです。
滅菌パックされた専用の置換液(10L程度)を補液してろ過を行う治療です。オンラインHDFと比較すると補液量が少なくなります。HDFが適応となる方で、オンラインHDFが体に合わない方等はこちらの治療を勧めています。