褥瘡対策委員会 × 褥瘡対策チーム2022-9-1【カテゴリー】連携について
今回は当院の褥瘡回診の様子をお伝えしたいと思います。
褥瘡(じょくそう)とは何かご存じでしょうか?
褥瘡とは「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定期間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と日本褥瘡学会で定義されています。
一度褥瘡ができてしまうとなかなか治癒することができません。治癒に向けて薬剤の選択だけでなく、体位の工夫や体圧分散寝具の選択、栄養管理など様々な方法が必要になってきます。
このため病院が発足している褥瘡委員会には看護師だけでなく薬剤師や栄養士、理学療法士などが委員として在籍しており、それぞれの専門性を生かして患者さんの褥瘡対策へアプローチしています。
当院には院内褥瘡対策委員会があり、様々な職種(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士)が委員として属しています。
その委員と褥瘡対策チーム(外科医師と専任看護師)で週1回褥瘡回診を行っています。
褥瘡回診には実際にコメディカルスタッフも参加し、実際の患者さんや褥瘡を診て、必要なケアをその場で考え対応してくれていて褥瘡治癒へ大きく貢献してくれています。
当院の褥瘡の半数以上が持ち込み(入院前に発生した褥瘡)です。
持ち込み褥瘡とは?
自宅で発生し悪化した状態であることが多く、既存の薬剤処置や創傷被覆材では難治することが多くあります。
ここで力を発揮するのが局所陰圧閉鎖療法(NPWT)です。
NPWTは2009年に薬事承認され、2010年から保険収載され一気に広まりました。
NPWTは感染や壊死組織がある創部には使用できず、適応する患者さんが限られていました。ですが、2017年より従来のNPWTと洗浄液(生理食塩水)を周期的自動注入させ、創面の環境調整、創の清浄化が同時に行える治療機器(NPWT-id:当院使用機器:KCI社V.A.C.Ulta®治療システム)の承認が下り、感染創や壊死組織のある難治性創傷へ使用できるようになり適応が拡大しました。
このNPWT-idは3~4週間施行実施が可能でかなりの改善が望めます。当院でも適応の褥瘡保有者がおられた場合、随時実施して早期治癒の一助となっています。
機械の管理などの作業や週に1~2回の大掛かりな処置がありますが、患者さんの褥瘡が本当によくなるのでとてもやりがいを感じています。
今後も適応の患者さんがおられたら即座に使用し一日でも早く治癒されるように対応していきたいです。
文責:東大阪病院 皮膚・排泄ケア認定看護師M