サルコペニア予防 透析中の運動療法2021-12-23【カテゴリー】部署紹介
サルコペニア予防として実施している透析中の運動療法についてご紹介します。
現在、当院では120名程の患者さんが透析を受けておられます。
透析患者さんは透析後の疲れから体を動かす機会が少なくなり、徐々に運動不足となり、サルコペニア(加齢や生活習慣などの影響によって、筋肉が急激に減ってしまう状態)を起こしやすくなります。
そして、筋力低下から頻繁に転倒するようになり、転倒から骨折などを発症し、入院を繰り返す方もおられます。
そこで私たちは、近年多くの透析施設が取り入れている透析中の運動療法に注目し、透析患者さんの筋力低下を予防したいと考えました。
医師から運動療法の講義をうけ、運動療法チームを結成しました(^◇^)
運動療法を実施するにあたって、
・患者さんが取り組んでくださるか?
・負担はないか?
また、業務の一環として取り入れて、継続して行うことができるのか・・・など心配でした。
そこで、まずはお試しとしてエルゴメーター(実際に運動をしているのと同じ負荷をかけ、体力トレーニングや体力測定を行う器具)を準備し、「患者さんにやってみませんか?」と声を掛けてみました。
患者さんからは、
「4時間寝っぱなしも退屈だからしてみたい」
「最近足の力が落ちているから」
「筋力がつくなら、してみたい」
「やってみたい」と言う声が聞かれました。
また、透析中の運動には下記のようなさまざまな効果があるため、患者さんにしっかり説明させていただいたのち、実施しました。
効果が証明されているもの
・透析の効率が良くなる
・生活の質が良くなる
・歩行の機能が良くなる
・心臓の働きがよくなる
・筋力と筋肉量が増加する
透析中に行なう利点も説明しました
・スタッフが一緒だから安心
・運動と透析を一緒に行うため、一石二鳥
・改めて時間や場所をとらずに運動ができる
スタッフもエルゴメーターをしている患者さんのそばで見守り、励ましの声掛けをおこないました
透析を続けていると、体力、筋力は急速に低下するため、運動はとても重要です。
透析患者さんにとって、「体力を維持すること」、「運動を継続すること」は、生命 予後(元気で長生きすること)を大きく改善させることが証明されています。
足の筋肉がつけば転倒しにくくなり、日常生活も楽に過ごせるようになります。
また、透析中の運動は体力や筋力を向上させるだけではなく、透析中の血液循環を高めることで「透析の質」も向上します。
透析と運動を併用することは、良い透析ができ、合併症なども起こりにくくなる効果も期待できます。
そして、透析中の時間をさらに有意義な時間とします。
透析スタッフ全員で運動療法に取り組んでいき、患者さんが元気で健やかな生活が送れ、1人でも多くの方に自分の足で長く東大阪病院に通ってもらいたいと思っています
文責:東大阪病院 看護部 北館透析スタッフのIです