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透析室における感染対策
2025-3-10【カテゴリー】部署紹介/その他/質向上への取り組み

 今回は透析室における感染対策の重要性と対策についてお話します。

 当院の透析室は複数の患者さんを同じ空間で同時に診療するスタイルで、1つのフロア内で同時に10名以上の患者さんが透析を実施しています。

そのため
「患者さん同士の距離が近い」こと、
「同じスタッフが複数の患者さんに接する」こと、
「体外循環治療のため環境が血液により汚染される可能性の高い場所」であることなどから、
集団感染につながる危険性が高いと言われています。

 飛沫感染接触感染空気感染血液媒介感染など様々な感染経路で伝播する感染症に常に注意が必要です。
 患者さんの中には、透析治療が長期にわたるため、免疫力が低下し、感染しやすい状態の方もいます。透析室における感染症伝播リスクを少しでも減らすために、「透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン」に基づき、標準予防策(スタンダードプリコーション:SP)の徹底と、必要な場面ではSPに追加して経路別予防策を実施することが重要です。

透析環境の特殊性

 透析室の中で特に注意が必要と考えるのが接触感染です。
 透析室では午前と午後、月水金と火木土で同一のベッドや透析機器を共有することから、適切な環境整備が行われなければ、自分たちの手や環境、物品などを介して様々な菌を伝播させてしまう可能性があります。
 透析患者さんは感染リスクが一般患者さんより高いといわれています。しかし、適切な感染対策を行うことにより、リスクを最小限に留めることができます。そのため職員全員がルールに沿って行動することが大切です。

治療環境としてのゾーニング

 透析を実施するために必要な医療機器・物品として、ベッドやベッド柵、コンソール、オーバーテーブル、電子カルテ用ワゴン、医療廃棄容器などがあります。透析室では、ベッドやコンソールのように患者専用で使用できるものと、電子カルテ用ワゴンのように透析中に患者間を移動して使用するもので管理の仕方を変えています。
 透析中に穿刺準備や薬剤を取り扱う場所を「清潔」、ベッド上を「患者エリア」、医療廃棄容器など使用済みのものを置く場所を「不潔」と考えます。

 電子カルテ用ワゴンや処置用ワゴンを医療者が移動させて使用するため、「清潔」として管理し、患者認証や薬剤確認などの実施の前後で清拭消毒したり、取り扱う医療者が手指衛生することを徹底しています。
 患者エリアであるベッド周囲の環境は、高頻度接触面であると同時に、穿刺や処置の際に血液汚染の可能性も高い区域となります。医療者がほかの患者さんへの媒介とならないためにも環境整備と手指衛生が必要です。

透析室における感染対策

 個人防護具(PPE)の着用
 穿刺や止血、カテーテル処置や管理、創部の処置などの手技の前には、未使用のディスポーザブル手袋を着用します。手技の前後では、石鹸と流水による手洗いまたはアルコールジェルでの手指衛生を行います。透析の開始時や終了時、創部の処置などを行う場合は、プラスチックエプロン、サージカルマスク、ゴーグルを着用しています。

 

 感染症が疑われる場合は、病棟から透析室に入室する前に診察を行い、医師の診断の後に、個室で空間的な隔離透析や、時間的な隔離透析など、病態に応じた対応を行います。

隔離透析室

透析終了後の環境整備

 透析装置の外装やベッド柵、オーバーテーブルは透析終了ごとに清拭を実施しています。
 鉗子やトレイなどは、使用ごとに専用の消毒薬に漬けた後、十分に水洗いをします。

 透析治療の特性上、透析室内は感染症などの伝播リスクが高い環境にあります。また透析患者さんは感染しやすい状態であり、スタッフは常に適切な感染対策をとらなければなりません。また、環境整備によって患者さんの感染リスクを低減することも大切ですが、スタッフが感染の媒介になることや、スタッフ自身が感染することも防がなくてはなりません。透析に関わるスタッフ、患者さん一人ひとりの心がけが、集団感染を予防するために重要と考えて、リンクナースとして日々現場への働きかけを行っています。

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社会医療法人有隣会 東大阪病院
看護部

文責:透析室 感染リンクナース M

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