[こんな時は救急外来へ!!症例別Q&A]
上腕の骨折(上腕骨骨幹部骨折)について
上腕骨骨幹部とは?
上腕骨とは肩から肘をつなぐ骨で、骨幹部とはその中央部分をいいます。
上腕骨骨幹部はどのようにして折れるのか?
多くはスポーツでの激しい接触や交通事故などの大きな力がかかると生じます。
また投球動作や腕相撲のように、上腕骨に大きな捻じれる力が瞬間的に加わることでも発生します。 比較的若者の発生が多く、腕相撲で発生することも多いと言われています。
上腕骨骨幹部骨折にはどんな症状がでますか?
上腕部での疼痛、変形、不安定性が出現します。骨折した部分の骨が皮膚を突き破る開放骨折になることもあります。 また指先がつめたい、血色が悪いなどの症状があれば血管損傷なども考えられます。手や指のしびれ、手関節や指が動かしにくいなどの症状があれば、神経損傷を疑います。
上腕骨骨幹部骨折の検査・診断とは?
病院でX線検査やCT検査を行います。 医師がその結果を診て治療方法を考えます。血管の損傷が疑われるときなどは超音波検査や造影剤を用いた検査を行うことがあります。
上腕骨骨幹部骨折の治療はどのようにおこなわれますか?
他の骨折と同様、ギブスや装具などで固定する保存的治療と手術があります。それぞれの治療については、各Q&Aをご参照ください。
上腕骨骨幹部骨折の保存的治療はどのようなものですか?
初期は三角巾と胸部固定バンドを使用して上肢全体を体幹に密着する方法や、脇の下から手部までギブスをまいてその重みで整復するハンギングキャスト法などがあります。
ただしこれらの方法だけでは肩関節や肘関節が固まってしまうことがありますので、途中でファンクショナルブレースという装具に変更して、肩や肘などの運動をしつつ治療をすすめることもあります。
上腕骨骨幹部骨折の手術的治療はどのようなものですか?
プレートや髄内釘(芯棒を入れる)などの手術療法があります。
どのような手術方法が最良かは骨折の場所や状態などを見て医師が判断します。 手術は全身麻酔で行われることが多く入院が必要になります。
ただし血管損傷を疑う場合や開放骨折などでは緊急の対応が必要になるので、対応可能な病院へ転院が必要となることもあります。
上腕骨骨幹部骨折の合併症にはどのようなものがありますか?
上腕骨骨幹部骨折の合併症には、橈骨神経麻痺や偽関節があります。
- 橈骨神経麻痺:
橈骨神経とは指を伸ばしたり、手首をそらせる筋肉の運動にかかわります。骨折した部分で神経が引っ張られたり圧迫されたりすると、手首が垂れ下がったままになってしまいます。また親指の付け根周辺のしびれや感覚障害などが生じます。自然回復することが多いですが、損傷の評価のために手術を行う際に神経を確認することもありますので担当医との相談が必要です。 - 偽関節:
骨折した部分で骨がつかないことです。 これに対して体の他の部位より骨を移植する方法や内固定をやり直すなどの追加手術を行うことがあります。