社会医療法人有隣会 東大阪病院(大阪市 城東区)

救急外来 夜間・日曜・祝日 対応可

診療科・部門 診療科・部門

[リウマチ・骨粗鬆症 外来]
骨粗鬆症の治療方法

食事療法について

骨粗鬆症は予防が大切な病気です。
カルシウムを十分に摂取するだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウム、適量のタンパク質をとることも大切です。

骨粗鬆症予防に積極的にとった方が良い食品
過剰摂取を避けた方がよい食品・嗜好
  • リンを多く含む食品(加工食品、インスタント食品、炭酸飲料など)
  • アルコール
  • 喫煙

カルシウム

カルシウム骨の主成分の1つです。
99%は骨や歯に含まれていますが、血中や筋肉にも含まれており止血にかかわったり、神経伝達のコントロールや、筋肉の動き、ホルモンの分泌などにもかかわったりしています。
カルシウムが少なくなると骨粗しょう症以外にも体に不調があらわれます。カルシウムは腸で吸収されます。牛乳や乳製品はとても吸収率がよいので朝食でとるとよいでしょう。
1日に必要なカルシウムの摂取推奨量(成人):650~800mg
  • 牛乳1杯(200ml)中のカルシウム…220㎎
  • プロセスチーズ50g…317mg
  • ししゃも3尾(50g)…165mg
  • 小松菜1束(200g)…340mg

タンパク質

タンパク質骨のもうひとつの主成分です。
骨の鉄骨ともいえるコラーゲンの元になります。私たちの体の筋肉・内臓・皮膚・つめなどもタンパク質よりできています。とても大切な栄養素です。
若いころはよく動物性タンパク質を摂取しますが、加齢とともに摂取量が少なくなる傾向にあるようです。肉や魚、牛乳などの乳製品、大豆など意識してタンパク質をとるよう心がけましょう。
1日に必要なタンパク質の摂取推奨量(成人):50~60g
  • 牛乳1杯(200ml)中のタンパク質…7.0g
  • 鶏胸肉(皮なし)100g…22.3g
  • かつお100g…25.0g
  • 納豆1パック(45g)…7.4g

ビタミンD

ビタミンD血中カルシウム濃度を保つ重要なビタミンです。
カルシウムをたくさん摂取しても、ビタミンDが不足しているとカルシウムを充分に吸収することができません。カルシウムとビタミンDを同時にとるとよいでしょう。いわしやさんま、さばといった青魚やきくらげにも多く含まれています。
また、ビタミンDは紫外線にあたることにより皮膚で合成されます。1日15分ほどの日光浴で1日に必要な分以上のビタミンDが合成されるといわれています。直接日にあたらなくても、晴れた日に木陰で休むだけでもOKです。ただし、ガラス越しの日光浴は紫外線が遮断される為効果がありません。買い物や、屋外での洗濯物干し等で充分です。日焼け止めクリームを使用している時は少し長めに日にあたりましょう。
1日に必要なビタミンDの摂取推奨量(成人):5.5µg
  • 塩さけ1切れ(100g)中のビタミンD量…25µg
  • さば焼き(100g)…11µg
  • きくらげ乾燥(4g)…17.4µg
  • 卵1個…3µg

ビタミンK

ビタミンK骨に含まれるタンパク質に『オステオカルシン』があります。
オステオカルシンはカルシウムが骨にくっつくのを助けたりカルシウムが骨から溶け出してしまうのを抑えたりする重要なタンパク質です。
ビタミンKにはこのオステオカルシンを活性化したり、骨の主要なタンパク質であるコラーゲンの合成を促進する役割があります。ビタミンKが不足すると骨が弱くなり骨折が多くなります。また、ビタミンKには止血を助ける役割があります。
1日に必要なビタミンKの摂取推奨量(成人):150µg
  • モロヘイヤ1袋(100g)中のビタミンK量…640µg
  • 納豆1パック(45g)…240~300µg
  • 小松菜1/4束(50g)…210µg
  • のり中1枚…210µg

葉酸

葉酸タンパク質の合成や赤血球の産生に重要な役割を果たしています。
モロヘイヤ、ほうれん草、枝豆などの緑黄色野菜に多く含まれており、のり、きな粉やひよこ豆等の豆類、レバー、酵母にも比較的多く含まれています。レバーは鶏・牛・豚ともに葉酸が豊富ですが、生食による食中毒の可能性があるため必ず加熱調理したものを摂取しましょう。苦手な方はレバーペーストなどがおすすめです。
近年妊娠前からの葉酸摂取が推奨されておりサプリメントを利用する方も多いですが、一日の摂取上限量900~1000μgを超えないよう注意しましょう。
1日に必要な葉酸の摂取推奨量(成人):240µg
  • モロヘイヤ1袋(100g)中の葉酸量…250µg
  • 枝豆ゆで(100g)…240µg
  • 納豆1パック(45g)…54µg
  • 小松菜1/2束(100g)…110µg
  • のり1食(1/8タイプ8枚)…60µg
  • とりレバー生(100g)…1300µg

ビタミンB6

ビタミンB6タンパク質は私たちの体内で合成されます。
ビタミンB6はタンパク質の元となるアミノ酸の代謝に関わっており、皮膚や粘膜等の再生を助ける働きをしています。不足すると皮膚炎や口内炎、神経障害を起こすことがあります。
肉や魚に多く含まれますが、バナナやナッツ、とうがらしやにんにくにも多く含まれています。サプリメントを利用する場合は一日の摂取上限量40~60㎎を超えないよう注意しましょう。
1日に必要なビタミンB6の摂取推奨量(成人):1.2~1.4mg
  • バナナ(1本)中のビタミンB6量…0.38mg
  • まぐろ とろ(100g)…1.00mg
  • ピスタチオ 煎り(100g)…1.22mg
  • 牛レバー 生(100g)…0.89mg
  • とりレバー生(100g)…0.65mg

ビタミンB12

ビタミンB12DNAの合成に関与しており、葉酸と共に赤血球の産生に関わっています。
葉酸とは相互に作用しあっていて、体内で有効に働くためには同時に葉酸も摂取することが必要です。
胃粘膜の因子と結合し腸管で吸収されるため、胃切除術を受けた場合欠乏症となります。ビタミンB12欠乏により貧血を起こします。
魚や貝、肉、牛乳などの動物性食品に広く含まれています。中でも牛や豚のレバーに多く含まれています。
1日に必要なビタミンB12の摂取推奨量(成人):2.4µg
  • 牛乳1杯(200ml)中のビタミンB12量…0.6µg
  • プロセスチーズ(50g)…1.6µg
  • しじみ 水煮(10~15粒程 5g)…4µg
  • 牛レバー生(100g)…52.8µg
  • とりレバー生(100g)…44.4µg

マグネシウム

マグネシウムミネラル成分のひとつで、体内で多くの酵素の働きを助けています。
神経の興奮を抑え、体温や血圧を調整し、生命の維持に関わる大切な栄養素です。体内のマグネシウムのうち50~60%は骨に含まれています。マグネシウムとカルシウムには密接な関係があり、カルシウムだけ摂取していてもマグネシウムが不足していると血中カルシウム濃度が低下してしまいます。
食事において、カルシウムとマグネシウムは2対1の比率でバランスよく摂取するのが望ましいとされています。マグネシウムは大豆製品や海藻、ナッツ類、ごまに多く含まれています。ひじきや昆布はカルシウム・マグネシウムともに豊富に含んでいます。
1日に必要なマグネシウムの摂取推奨量(成人):270~340mg
  • ひじき(油いため100g)中のマグネシウム量…44㎎
  • 塩昆布(100g)…190mg
  • アーモンド 煎り 無塩(100g)…310mg
  • 納豆1パック(45g)…45mg
  • ほうれんそ草 ゆで(100g)…40mg

運動療法について

体の中で骨を作ってくれるのが、『骨芽(こつが)細胞』です。
この『骨芽細胞』にしっかりと働いてもらうためには、運動による刺激が必要です。
強い力がかかればかかるほど骨は強くなろうとします。よって、軽い運動よりも強い運動の方が、骨に刺激を与え、強くすることができます。
また、運動することで筋力やバランス能力が維持・向上し、転びにくい体をつくることができます。

ただし、年齢・体格・健康状態等の個人差により、できる運動とできない運動がありますので注意が必要です。急に無理をすると反って体を痛めてしまう可能性があります。

おすすめの運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、卓球、グラウンドゴルフ、テニス、体操などがあります。ウォーキング(歩くこと)は手軽なので、運動に慣れていない方でも挑戦しやすいと思います。
他にも体を動かすものなら何でも結構です。出来る範囲で、かつ長く続けられるような、自分の好みにあった運動をみつけていただくことが大切です。

【運動例1】うつ伏せ背中伸ばし

【運動例1】うつ伏せ背中伸ばし腰椎の骨密度低下を抑え、圧迫骨折を予防します。

  1. うつ伏せになる。
  2. 両手でゆっくりと上半身を起こす。
  3. 背中をそらして3~5秒静止したあと、ゆっくりうつ伏せに戻る。※胸が少し浮く程度でも効果があります。
  4. この動作を5~10回繰り返す。

【運動例2】座って背中伸ばし(うつ伏せになりにくい場合)

【運動例2】座って背中伸ばし(うつ伏せになりにくい場合)

  1. 椅子に座って、両手を肘から直角に上に曲げる。
  2. 胸をぐっと張って、両腕の高さを変えないで両側に開く。
  3. 息を吐きながら、ゆっくり状態をそらせる。
  4. 息を止めてそのまま10秒静止する。
  5. そのままの姿勢で息を吐きながら5秒静止する。
  6. この動作を5~10回繰り返す。
息を吐く・止めるが難しい時は、息は気にせず背中を伸ばしてみましょう。
【注意事項】

  • 椅子はぐらぐらしないもの、足の動かないものを選ぶ
  • ひっくり返らないよう壁を背にする、背もたれ肘掛のあるものを使用するなど工夫する

【運動例3】あお向け片足上げ

腰椎の骨密度低下を抑え、圧迫骨折を予防します。

【運動例3】あお向け片足上げ

  1. あお向けになり、ひざを立てる。
  2. 片足のひざを伸ばしながら、ゆっくりと持ち上げる。
  3. 上げて5秒静止したあと、もとに戻す。
  4. 片足ずつ5~10回反復する。
ひざ周囲の筋肉をきたえられるので、ひざに痛みがある方にもおすすめです。上げる方の足を床にまっすぐ伸ばし、そのままひざを曲げずに持ち上げてもOKです。ただし無理はしないこと。

【運動例4】かかと上げ

【運動例4】かかと上げふくらはぎの筋肉を強化し、転倒を予防します

  1. 壁に向かって立つ。
  2. つま先を軸にかかとを上げ、3~5秒静止したあと、下げる。
  3. この動作を5~10回繰り返す。
バランスがとりにくい時は、壁に軽く片手をつけて行う。

【運動例5】片足立ち

足の付け根の骨を強くする、バランス能力と筋肉を強化します。
【運動例5】片足立ちふくらはぎの筋肉を強化し、転倒を予防します。

  1. 机や壁など、手を添えられるものがある所で立つ。
  2. 両手を腰に当て、片足を床から5~10㎝ほど上げて1分間静止する。
  3. 同様に反対の足で片足立ちして1分間続ける。
  4. 1日に3回程度行う。(朝・昼・晩と分けて行うのもよい)
足が床につかない程度に上げるだけでもよい
転倒が心配な時は、あらかじめ机や壁に手を添えて行う
目次へ戻る

薬物療法について

治療には、カルシウムやビタミンDなどの内服薬や骨吸収阻害剤を使用したり、カルシトニン製剤や副甲状腺ホルモンの注射などによる治療を行います。人それぞれに応じた方法があります。

薬物療法
「薬は使いたくない」「自分の体の力だけで治したい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、薬には副作用があり絶対に安全であるとはいえません。
しかし、薬は医師・薬剤師の指導のもと服用する事で副作用の危険性を減らすことができます。

また、薬を飲むことによって、骨折による長い入院やリハビリ、不自由な生活、寝たきりになる危険性を回避することができる、または減らせるとすれば、薬を飲むことによる欠点より利点の方が大きくなるのではないでしょうか。

骨の新陳代謝

体の中で、古くなった骨は、常に新しい骨に作りかえられています。
これを、『骨の新陳代謝』といいます。
この『骨の新陳代謝』のバランスが崩れると骨の量が足りず、骨が弱くなり骨折しやすくなります。これが『骨粗しょう症』です。
薬物治療では、この『骨の新陳代謝』のバランスを整え、骨の量を増やす為にいくつかの作用をもった薬剤を使用します。
以下に、代表的な薬について紹介します。

骨が壊れるのを防ぐ薬(骨吸収を抑える)

  • ビスホスホネート薬
    破骨細胞の働きを抑えて、骨を壊れにくくする。
  • カルシトニン製剤
    骨のカルシウムが血中に溶け出すのを抑える。痛みを和らげる。
  • デノスマブ[新薬]
    破骨細胞が働くために必要なたんぱく質を壊す。

骨を作る薬(骨形成を促進する)

  • 副甲状腺ホルモン薬
    一般名:テリパラチド[新薬]
    商品名:テリボン、フォルテオ
    骨を作る「骨芽細胞」の働きを高めて、新しい骨をつくる。

その他の薬

  • カルシウム薬
    カルシウム摂取量の少ない場合に使用。骨量の減少を予防する。
  • 活性化ビタミンD薬
    腸からのカルシウム吸収を助ける。骨を強くする。
  • ビタミンK薬
    骨が作られるのを助ける。

上記のうち、近年開発された新薬は、それ以前の薬よりも骨折予防の効果がかなり期待できます。
ただし、副甲状腺ホルモン薬は、

  • 1割負担の方で月約5,000円
  • 3割負担の方で月約15,000円

と高価です。
薬を使用するかどうか、またどんな薬を使用するかは、患者さんの状態によって異なります。

薬は医師・薬剤師の指導のもと服用する事で 効果を発揮し、また副作用を減らせるものです。 以下注意して使用して下さい。

  • 病院でもらう薬は、医師・薬剤師の指導を守って使用する。
  • 市販薬は添付文章をよく読み用法・用量を守って使用する。不明な点は、薬店の薬剤師に相談する。
  • 複数の病院で薬を処方してもらっている、または病院薬・市販薬やサプリメントを複数種類使用している方は、一緒に使用してはいけない薬もあるので必ず医師・薬剤師に相談する。
  • 古い薬は使用しない。
  • 他の人に処方された薬を飲まない。他の人に自分の薬を与えない。
薬に関する注意事項はまだまだ沢山あります。
医師・薬剤師に積極的に相談しましょう。
また、お薬手帳の活用をおすすめいたします。
手帳は複数冊持たずに1冊だけ使用しましょう!

〒536-0005 大阪府大阪市城東区中央三丁目4-32

【最寄り駅】

  • 大阪メトロ長堀鶴見緑地線・大阪メトロ今里筋線「蒲生四丁目駅」⑦番出口すぐ(徒歩0分)
  • 京阪本線「野江駅」から徒歩10分
  • JRおおさか東線「JR野江駅」から徒歩13分
  • JRおおさか東線「JR鴫野駅」・大阪メトロ今里筋線「鴫野駅」から徒歩15分
  • JR大阪環状線・JR東西線・京阪本線・大阪メトロ長堀鶴見緑地線「京橋駅」から徒歩17分
交通アクセス 詳細はこちら
お問い合わせ
はこちら